書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

藤十郎駆ける!〈一〉

さらば刈谷城

早見俊/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年8月5日
価格:640円+税
判型:文庫

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 早見俊の戦国小説。しかも主人公は、戦国の暴れん坊・水野藤十郎勝成だ。これは面白いだろうという予感は、見事な大当たりとなった。
 物語は、本能寺の変から始まる。いち早く、この変を知った藤十郎は、領地の三河刈谷に赴き、援軍を率いて京に戻ることになった。しかし伊賀越えの最中、の徳川家康と会ったことから気を変え、織田信雄の下に駆けつけ、明智光秀討伐の兵を起こすように煽る。ところがグダグタしているうちに、光秀は羽柴秀吉に討たれた。それでも意気盛んな藤十郎は、戦国の動乱の渦中を突っ走っていく。
 後に〝鬼日向〟と呼ばれ、畏れられるようになる藤十郎も、まだこの頃は、酒と女と戦に夢中な猪武者であった。でも、それがいい。大局観も無いまま戦を求めるかと思えば、自分を狙った女を愛する。藤十郎の無鉄砲な行動に、若さが弾けているのだ。猪武者が、いかにして有名な戦国武将になり、大名になったのか。その軌跡を見届けたい。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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