生々流転を重ね、今は江戸の町年寄の配下となり、やっかい事を解決している柏木宗十郎。妻と養子を得て満ち足りた日々を送る彼は、「新・問答無用」シリーズ第三弾となる本書で、懐かしい人物と再会する。本シリーズの前身の「問答無用」シリーズで、よく宗十郎と組んで仕事をしていた吉蔵だ。久しぶりの
一方で宗十郎は、町年寄から、五万両を下らぬ金子に関する不正疑惑の調査を命じられる。事情を知っているらしい由蔵という男を捜す宗一郎の行動は、ハードボイルドのよう。途中、何者かに襲われ気絶するなど、いかにもな展開が楽しめる。また、妻と養子の存在が、潤いになると同時に、宗十郎の弱点にもなり、サスペンスを盛り上げる。事件の真相そのものは、あっと驚くようなものではない。だが、あの手この手を投入して、ラストまで一気読みさせてくれるのだ。