書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

新・問答無用

遺言状

稲葉稔/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年8月5日
価格:630円+税
判型:文庫

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 生々流転を重ね、今は江戸の町年寄の配下となり、やっかい事を解決している柏木宗十郎。妻と養子を得て満ち足りた日々を送る彼は、「新・問答無用」シリーズ第三弾となる本書で、懐かしい人物と再会する。本シリーズの前身の「問答無用」シリーズで、よく宗十郎と組んで仕事をしていた吉蔵だ。久しぶりのかいこうに、宗十郎だけでなく、読んでいる私たちまで嬉しくなる。シリーズ物ならではのだいだ。
 一方で宗十郎は、町年寄から、五万両を下らぬ金子に関する不正疑惑の調査を命じられる。事情を知っているらしい由蔵という男を捜す宗一郎の行動は、ハードボイルドのよう。途中、何者かに襲われ気絶するなど、いかにもな展開が楽しめる。また、妻と養子の存在が、潤いになると同時に、宗十郎の弱点にもなり、サスペンスを盛り上げる。事件の真相そのものは、あっと驚くようなものではない。だが、あの手この手を投入して、ラストまで一気読みさせてくれるのだ。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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