真田幸村と、彼の下に集う英雄好漢を描く、津野田幸作の『戦国の龍虎』が、早くも第三弾に突入。私たちの知る史実とは違う、もうひとつの戦国は、さらに加速する。
まず、真田幸村と強い絆で結ばれた直江兼続が家老を務める上杉家は、大軍を擁して佐々成政の籠る富山城を四日で落とした。一方、幸村率いる真田軍は、徳川家が支配する甲府に出陣。躑躅ケ崎館を奪い取ると、ここに留まり、徳川軍と激しい戦を繰り広げる。躑躅ヶ崎館そのものを罠にした幸村の計略は凄まじく、幸村に仕える後藤又兵衛と徳川方の本多平八郎の一騎打ちに血が滾る。
さらに羽柴秀吉の動きや、黒田如水の謀略により、戦国の世が揺れに揺れる。甲府を新たな拠点とし、錯綜する状況を睨む幸村は、どこに向かい、何を成そうとするのか。ラストでは、知る人ぞ知る戦国の猛将・渡辺勘兵衛が仲間となり、戦力も増強された。痛快無比の真田戦国史。どうか、とことん堪能してもらいたい。