上田秀人の「織江緋之介見参」シリーズも、第七弾となる本書で、堂々の完結を迎えた。ラストを飾るに相応しく、チャンバラもヒートアップする。
次期将軍の座を巡る争いが激化する中、三代将軍家光の十三回忌のため、四代将軍家綱が下向することになった。その行列を、将軍家剣術指南役の父親・小野忠常と共に守護することになった織江緋之介。襲いくる三十人の死兵と、壮絶な斬り合いに突入する。途中で緋之介の叔父であり、最強剣鬼の小野忠也も加わるが、終始劣勢。命ギリギリの大殺陣は、興奮必至の面白さだ。おまけに大殺陣の後にも、忠常と緋之介の剣の冴えが楽しめる場面が控えている。これだけ詰め込んでくれれば、お腹いっぱい。満足だ。
そして七巻を通じて成長した緋之介は、物語の最後で新たな旅立ちを迎える。ああ、織江緋之介、どこへ行く。ひとりの読者として、万感の思いを抱き、彼の雄姿を見送ってしまったのである。