書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

将軍の影法師 葵慎之助

拝命

麻倉一矢/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2016年7月1日
価格:650円+税
判型:文庫

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 一九九〇年代から時代エンターテインメントを発表していたあさくらかずは、文庫書き下ろし時代小説の波に乗って、さらにパワーアップ。幾つものシリーズを抱えるようになった。その作者の新作が本書である。
 徳川将軍家と縁続きのかつしんすけ。父の死により寺の住職になった彼は、姉のげっこういんから、上様を守るよう懇願される。九代将軍のいえしげの命が狙われているというのだ。さんきょうと某藩の思惑がさくそうする中、天下人にはべる〝にんちょうじゃくにん〟となった慎之助は、じきしんかげ流小太刀の腕を振るい、将軍を守護する西さいしゅうと共に、奮戦するのだった。
 貴種ヒーローが、天下安寧のために立ち上がる。時代小説では、よくあるパターンだ。でも、本書は面白い。主人公の公人朝夕人将軍専用の尿びんという役目や、江戸のふん尿にょうを処理する葛西衆の裏の顔といったフックが、読者の興味を強くきつけるからだ。
 また、きょうごく家のほたるひめを始め、慎之助を取り巻くヒロインも魅力的。一気読み必至の作品だ。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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