書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

天皇みかどの刺客〈上〉

澤田ふじ子 /著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年6月3日
価格:680円+税
判型:文庫

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「祇園社神灯事件簿」シリーズのうえまつよりすけと、『やがての螢京都市井図絵』のなげじゅうろうさわふじ子の、ふたつの作品の主人公が出会ったのは、「祇園社神灯事件簿」シリーズの最終話「神書板刻」であった。本書は、その内容を受け継ぎ、幕末へと至る王政復古の流れを、豊かな物語によって活写したものである。
 長年にわたり武家政権に支配されたこの国は、本来の主である天皇を蔑ろにしてきたことで、さまざまなひずみを抱えている。そんな世の中を、頼助や十四郎は正そうとしている。手段は、板刻した『日本書紀』のはんだ。これを阻止しようとする幕府の手先と闘いながら、頼助たちの活動は続いていく。
 アジテーションの手段としての『日本書紀』頒布という着想が面白く、実際に板刻する場所のアイディアも素晴らしい。さらに、そのストーリーから伝わってくる、幕末以前の王政復古の流れに、作者のたしかな史眼が感じられた。ベテランの想いが込められた、こんしんの大作だ。

下巻はこちらです。

天皇みかどの刺客〈下〉

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年6月3日
価格:690円+税
判型:文庫

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細谷 正充

ほそや まさみつ

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