怒涛の勢いで刊行される「真田合戦記」シリーズは、第五弾でネクスト・ジェネレーションに突入した。ついに真田源五郎(後の昌幸)が、主役になったのである。
まだ元服前だが、武田信玄の奥小姓をしている源五郎。武田家の人質でもあり、気の抜けない日々を過ごしていた。そんな折、第四次川中島合戦が勃発。初陣に挑んだ源五郎は、戦場の悲惨な現実を知ることになる。
信玄の父親の信虎と、ウォー・ゲームをする場面など、作者は創作を加えながら、源五郎の才能の片鱗を見せていく。しかし、殲滅戦の様相を呈した第四次川中島合戦で、彼の青臭い自信はへし折られる。地獄のごとき戦場を体験した源五郎が、これからいかなる成長を遂げるのか。興味は尽きない。
もちろん源五郎の父親の幸綱も健在。武田・上杉・北条の三勢力の思惑が錯綜する中、真田家生き残りのために鬼謀を駆使するのだ。父子二代になって、ますますパワーアップした物語が、たまらなく面白いのである。