書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

無言殺剣

夜盗薙ぎ

鈴木英治/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年5月7日
価格:660円+税

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 すずえいの「ごんさっけん」シリーズは、第四弾となる本書で、舞台を変える。なぞの用心棒・おとなしもくが、彼の仲間であるすけはつと共に、旅立ったのだ。なかせんどうを西に向かう一行。しかし第一弾の大名暗殺から始まったいんねんが、彼らを追いかける。そして野盗に化けた忍びの集団に襲われたとき、鉄砲で撃たれた伊之助が、がけしたに転落して行方ゆくえ不明になるのであった。
 伊之助の行方を求めながら、黙兵衛はまとわりつく敵を倒す。その強さは圧倒的だ。その意味で黙兵衛は、完成されたヒーローといっていい。
 作者が巧みなのは、そんな主人公の横に、伊之助を配したことだろう。恋心を抱く初美との旅に浮かれる一方、人を斬り殺したことに恐れを抱く。しかし、それでも黙兵衛の強さを目標とする。命を助けてくれた一家の問題を解決しようとほんそうする、物語の後半からも、伊之助の成長が実感できた。ヒーローと、ヒーロー未満の組み合わせが、このシリーズを面白くしているのだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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