書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

しばられ同心御免帖

杉澤和哉/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年5月7日
価格:640円+税
判型:文庫

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 なんじゃこりゃ! と、叫びたくなる、とんでもない作品が現れた。じょうまちまわり同心のむらさめしんじゅうろうを主人公にしたとりものちょうと書けば、よくある文庫書き下ろし時代に見えるだろう。だけど、出てくるキャラがみんな変。超絶なんな真十郎は、なぜか他人のぎゃくしんをそそり、事件になると縛られ責められる。そのたびにかわらばんに書き立てられ〝しばられ様〟とはやされる始末。
 そんな真十郎をきゅうに追いやって、ハアハアしているのが、つけとうぞくあらためかた長官と南町奉行のドSコンビだ。さらに絵師のけいめいが真十郎のせめを、要所にばらまいている。また、真十郎の手下で、忍者マニアにしてべっぴん好きのひさきち。真十郎にベタれで、すぐに暴走する女武芸者のゆきわたちも、物語をにぎやかす。収録された全三話、捕物帖としての骨格は確かなのだが、ユニークすぎるキャラたちと、自由ほんぽうな文体に、そんなことはどうでもよくなった。でも、たまにはこんな、おふざけ時代小説もいいものだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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