書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

織江緋之介見参〈六〉

震撼の太刀

上田秀人/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年5月7日
価格:670円+税
判型:文庫

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 うえひでの「おりすけけんざん」シリーズは、第六弾にして、常にも増した面白さを発揮する。緋之介といんねんのある、そうじゃばんほっまさとしが、新たに放った刺客。それは大奥べっしき衆だった。三人の別式女をがいしゅういっしょくした緋之介だが、この結果すら正俊の手の内だというのだから、権力者のさくぼうすさまじい。
 一方、前作から始まった、妖刀むらまさを巡る争奪戦は、ついにとくがわ幕府を根底から揺るがしかねない、神君いえやすの大秘事へと発展。徳川みつくにの異母妹で、緋之介の許嫁いいなずけであるゆみが村正を所持していたことから、主人公はいやおうなく闘いのうずに巻き込まれる。複数の勢力が入り乱れる中、愛する者を護るため、をふるい続ける主人公の雄姿に、心がたかぶる。
 さらに、ラストで明らかになる、神君家康の大秘事がとんでもない。相変わらず、作者の着想はずば抜けている。また、暴かれた大秘事の扱いも巧みであった。このレベルがスタンダードなのだから、作者の人気が高いのも、当然のことといえよう。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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