書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

もののけ犯科帳

明日きみは猫になる

高橋由太 /著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年4月1日
価格:610円+税
判型:文庫

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 本書はたかはしの「もののけ犯科帳」シリーズの第五弾だ。収録作は三篇。冒頭の「明日きみはハゲになる」は、人間と妖怪が仲良くやっている飯屋「稲亭」の面々が、いきなりハゲになるという怪異が発生。その原因となった、しゃ鍋屋の娘と侍の恋を巡り、盗賊と妖怪入り乱れての騒動が巻き起こる。
 時代小説ファンならすぐに気づくが、この話、いけなみしょうろうの『鬼平犯科帳』のパロディになっている。随所に出てくる、原典を捻った人名や店名に大笑い。しかも後半には、若き日の鬼平その人まで登場するのだから、作者の遊びも半端ない。なんとも愉快な作品だ。
 続く表題作は、シリーズのヒロインのかけいとうが飼っている雷獣クロスケが、猫の幽霊を師匠にして、猫の仲間になろうと修業をする。さらにラストの「明日きみはお久美に会う」は、主人公相変わらず影が薄いたちの敵であるおが、番町皿屋敷のおきくと出会い、コントを繰り広げる。こちらも愉快なストーリーであった。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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