書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

禁裏付雅帳

戸惑

上田秀人/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年4月1日
価格:650円+税
判型:文庫

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 二〇一六年三月に刊行した戦国小説『傀儡くぐつに非ず』で著作百冊を突破した上田秀人だが、その勢いは止まらない。「きんづきみやびちょう」シリーズの第二弾が、早くも登場した。
 幕府と朝廷の思惑が交錯する中、禁裏付になったとうじょうたか。老中首座・まつだいらさだのぶの密命を受け、いよいよ御所に乗り込むが、独自の仕来りに戸惑うばかり。そんな鷹矢に、剣難女難が襲いかかる。
 敵の敵は味方とよくいわれるが、上田作品の場合、敵の敵はやっぱり敵である。朝廷から送り込まれた公家の姫・あつの扱いに苦慮する鷹矢だが、そんなものは序の口だ。幕府内の政争により京都所司代の放った刺客にまで狙われるのである。
 といっても本書では互いに探り合う状況で、チャンバラは一切なし。なにこれほど面白いのだから、作者のストーリーテラーぶりは、凄いものがある。おまけにラストで、新たな女難の襲来を予感させるではないか。舞台と人物が整ったシリーズから、ますます目が離せないのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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