二〇一六年三月に刊行した戦国小説『傀儡に非ず』で著作百冊を突破した上田秀人だが、その勢いは止まらない。「
幕府と朝廷の思惑が交錯する中、禁裏付になった
敵の敵は味方とよくいわれるが、上田作品の場合、敵の敵はやっぱり敵である。朝廷から送り込まれた公家の姫・
といっても本書では互いに探り合う状況で、チャンバラは一切なし。なにこれほど面白いのだから、作者のストーリーテラーぶりは、凄いものがある。おまけにラストで、新たな女難の襲来を予感させるではないか。舞台と人物が整ったシリーズから、ますます目が離せないのである。