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乾 緑郎
乾 緑郎

鬼と三日月

山中鹿之介、参る!

乾緑郎/著

出版社:朝日新聞出版
刊行年月:2013年5月
価格:1,600円+税
判型:四六判

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尼子家鉢屋衆のルーツ

 忠節の士として知られるやまなか鹿しかすけ。でも、常々ちょっと疑問に思ってたんですよね。
「鹿之介があま家復興のために担ぎ上げた尼子かつひさって、傍系のしんぐう党の忘れ形見だよなあ……」
「しかも新宮党って、尼子本家に攻め滅ぼされてるし」
「正統な後継者である尼子よしひさもう家のの下で生きてるのに、ガン無視して一家臣が尼子家復興とかおかしくね?」
 というのが、そもそもの発想の始まり。
 尼子本家に、まるっきり忠誠心のない鹿之介が登場します(新宮党シンパで、勝久とはマブダチという設定)。
 新宮党は、尼子氏について書かれた本とかでは悪者にされがちですけど、この作品では逆転の発想で、新宮党の方がベビーフェイス、尼子本家をヒールとして書いています。
 もちろん、私は忍者作家なので、尼子家に仕えた〝はち衆〟という超マイナーな忍者集団も登場します。
 尼子家の記録である『雲陽軍実記』に、〝本朝鉢屋の来由〟として一項を割いてかなり詳しく書かれているにもかかわらず、つねひさによるがっさん城奪還後は、まったくといっていいほど表舞台に出てこない連中。
 そのルーツは、辿たどりに辿っていくと、歴史に名を残す某大物反逆者にまでさかのぼり、一説ではそうしゅうの忍び集団、ふうとも起源を通じています。
 作中では相州から出雲に派遣されてきた風魔のくノ一との争いもあったり、某有名芸能者のルーツを鉢屋衆に求めたりして構想(妄想?)を膨らませています。
 タイトルのうち〝三日月〟は、鹿之介の有名な科白せりふ、「我に七難八苦を与えたまえ」の元ネタと言われる、いのうえたけしの『三日月の影』から、鹿之介の象徴として。
 では、〝鬼〟が誰を指すのかは、読んでからのお楽しみということで。

[平成28年(2016)3月28日]

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