時代小説という料亭
私は以前、『こんたん』、『さしがね』という、少々マニアックな娯楽時代小説で、物書きとしてデビューさせていただきました。このことがきっかけで、今回の『しばられ同心御免帖』を執筆する機会に恵まれ、その結果、様々な、いかがわしい資料と格闘しつつ、何とか書き上げることができました。
時代劇を映像で見るときに感じる、リズム、おかしみ、真剣さゆえの滑稽さ。こういったものが私の心をとらえて離さず、それを文字で表現したい。物語で表現したい。読んでいる間、ずっとクスクス笑っていられるような、楽しい娯楽時代小説。歴史小説や時代小説は難しくて、と敬遠される方でも易しく読め、作中の世界に身をおきたくなるような気持ちになれる──そんな思いを胸に、書かせていただきました。
時代小説という料亭には、まっとうな会席料理が十分にそろっています。想像以上に間口は広く、嗜好にぴったり合う料理と、必ず出会うことができます。しかしそれでも、入店していきなり小倉抹茶パフェが食べたくなってしまう。そんな人は、ぜひ『しばられ同心御免帖』をご注文ください。笑って、少々お腹ももたれた後で、『よし、まっとうな料理を食べてみよう』という気持ちが高まること請け合いです。
[平成28年(2016)3月21日]
〝少々マニアックな娯楽時代小説〟はこちらです。
こんたん
レーベル:Nanaブックス
出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション
刊行年月:2007年11月
価格:1,000円+税
判型:21.0×10.8cm




さしがね
レーベル:Nanaブックス
出版社:ナナ・コーポレート・コミュニケーション
刊行年月:2007年11月
価格:1,000円+税
判型:21.0×10.8cm




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