書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

妙ちきりん

「読楽」時代小説アンソロジー

徳間文庫編集部/編

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年3月4日
価格:640円+税

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  徳間書店発行の「どくらく」に掲載された時代短篇をまとめた、文庫オリジナル・アンソロジーが刊行された。それが本書だ。妖怪をることができる犬が、無理やり参加させられた参りで、新たな〝犬生〟を得るまつエメルの「くだんの夢――シロの伊勢道中」から、妖怪好きにはおみの稲生いのう太夫だゆうが、奇妙なお家騒動に巻き込まれるいぬいろくろうの「いぬがみぎょう」まで、全六篇が収録されている。
 タイトルからも分かるように、本書のテーマは〝妙ちきりん〟な物語だ。先の二作の他にも、ひでゆきの「魔王の子、鬼の娘」、たりそうすけの「あけずのくら」、もうのぶひろの「妖刀・かごつる」は、妖怪や怪異を題材にして、バラエティに富んだ〝妙ちきりん〟を繰り広げているのである。
 また、あますみの「異聞 巌流島決闘」は、みやもと武蔵むさしろうの対決の意外な真相と、ふたりのぶっ飛んだキャラクターが楽しめる、異色の剣豪小説だ。たしかにこれも〝妙ちきりん〟な物語といえるだろう。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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