書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

真田合戦記

幸綱躍進篇

幡大介/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年3月4日
価格:660円+税

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 今年のNHK大河ドラマ「真田丸」が好調だが、ばんだいすけの「真田合戦記」シリーズも絶好調である。第四巻となる本書では、関東かんれいやまのうちうえすぎ家の衰退により、巨大な空白地帯と化した北武蔵むさしからこうずけ国一帯を巡り、えちの上杉かげとらと、たけはるのぶが激突する。いわゆる、川中島合戦である。
 周知のように川中島合戦は、十年余にわたり、第五次まで行われた。本書では、その第一次から三次までが書き込まれている。悲願の旧領回復を果たし、武田家の武将として働くさなゆきつなが、要所々々で見せるぼうかっこういい。幸綱の息子ののぶつなのパートを作り、上杉方の動きと、景虎のキャラクターを浮きりにする手法も見事である。
 さらに本書で感心したのが、ぜんこうの位置づけだ。善光寺を、東日本の商業と金融と仏教の中心地とし、戦国武将が欲しがる重要拠点としたのである。これにより川中島合戦にも、新たな意味が与えられた。歴史小説を読む楽しみは、ここにあるのだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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