書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

無言殺剣

首代一万両

鈴木英治/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年3月4日
価格:660円+税

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

  すずえいの「無言殺剣」シリーズは、ひとつの大長篇としてとらえるべきなのだろう。だって第一弾で、主人公のおとなしもくが遂行した大名暗殺が、その後の騒動へとつながっているからだ。第三弾となる本書では、大名暗殺の一件を遠因として、黙兵衛をねらったことから死んだ娘のあだつため、父親の商人が一万石の賞金を懸ける。これにより殺し屋たちが、次々と、黙兵衛や彼を慕って行動を共にしているすけに襲いかかるのだ。どんな敵にも動じることなく、淡々と返り討ちにしていく、黙兵衛の圧倒的な強さが痛快だ。
 その一方で、伊之助の成長も本書の大きな読みどころになっている。前巻で、ふたりの兄を殺されて気落ちしていた伊之助だが、黙兵衛の教えを受け、メキメキと剣の腕を上げた。そして敵とはいえ、初めて人をあやめてしまうのだ。ついに一線を越えてしまった伊之助が、いかなる人生を歩むのか。ますますシリーズから、目を離せなくなったのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

著者紹介ページへ
[PR]