書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

織江緋之介見参〈五〉

果断の太刀

上田秀人/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年3月4日
価格:690円+税

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 愛する女性を失った傷心を抱え、吉原で暮らす若侍・おりすけを主人公にしたシリーズは、第五弾に至り、さらに興趣を増した。徳川家にあだなすという、妖刀村正の相次ぐ盗難事件。吉原を支配下に置こうとする、幕閣の陰謀。そして次期将軍の座を巡る、こうたてばやししゅんどう……。果てなき権力のもうしゅうを、小野派一刀流と柳生新陰流を学んだ、緋之介が断つ。村正を奪う忍びとの闘いや、吉原に乗り込んできた無頼者を斬り伏せる活躍など、血風は止まるところを知らず、ストーリーはヒートアップする。
 しかもラストは、将軍をねらう刺客たちとの、大チャンバラだ。剣の境地や女性との関係を、一段と進化させた緋之介が、あっれな活躍を見せてくれるのである。緋之介の父親のただつねや、ちゅうの見せ場もたっぷり。剣豪小説の面白さを、とことんたんのうできるのだ。
 なお、村正を巡る謎は、次巻に続いている。作者がどんなアイティアを用意しているのか、楽しみでならない。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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