引札収集棚

乾 緑郎
乾 緑郎

忍び外伝

乾緑郎/著

レーベル:朝日文庫
出版社:朝日新聞出版
刊行年月:2013年10月
価格:660円+税
判型:文庫

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

今も昔も本当に

 あなたは子供時代、濡れた半紙を床に敷いて、しわが寄らないようにその上を歩く練習をしたり、腰に長い布きれを巻いて、それが地面につかないように走ったり、花火をほぐして煙幕玉をつくり、ボヤ騒ぎを起こしたりしたことがありますか?
 私はあります。
 初めまして。いぬいろくろうと申します。
 時代小説の他に、ミステリーなども書いているんですが、今回、この場を借りてご紹介させていただく『忍び外伝』は、私の記念すべき時代小説第一作です。
 デビュー以来、私は一貫して“忍者もの”“伝奇もの”ばかり書いてきているんですが、これは別にニッチなジャンルをねらっているわけじゃありません。
 本当に忍者が好きなんですよ!
 そのきっかけは、小学生の頃に家族旅行で長野に連れて行かれた際に立ち寄った、“がくし流忍法資料館”。
 今はどうなってるのか知りませんが、当時はガチの資料館で、子供が喜びそうなアトラクションとか忍者ショーとかもなく、古民家みたいなところに並んだガラスケースに、手裏剣とかびしとかが、淡々と陳列されているだけでした。
 普通は退屈するんでしょうけど、その展示の無愛想さに、逆に私はリアリティを感じてしまったのです。
「本物だ……」
 忍者なんてものは、映画とかテレビとか漫画の世界にだけ存在する架空のものだと思っていた分、衝撃が走りました。
 その日の夜、宿泊先でさっそくノートを取り出し、マンガの案を練ったのを覚えています(当時の私は漫画家志望だったのです)。
 タイトルは「必殺! 戸隠流忍法」(何のひねりもないな)。戸隠流三代目宗家の戸隠ろうが、弟のろうと一緒に活躍する忍者マンガ。
 それから三十数年。やってることは今も同じです。
 えー、『忍び外伝』の内容ですが、に伝わる謎の忍法“けむりすえ”を巡って、伊賀の残党であるぶん(若き日のいしかわ右衛もん)が、幻術師しんと対決する話です。
 果心居士の幻術によって、月面、タイムスリップ、パラレルワールドと、常識外れの世界に飛ばされてほんろうされる文吾。果たして文吾の伊賀忍法は、その幻術を破ることができるのか――。
 すえくによしさんの文庫版解説では、忍者小説は「訓練すればこのくらいはできるのでは」というリアル系と、「絶対に常人には真似できない超能力的な必殺技が出てくる」非リアル系に大別できるとし、「本来は相反するリアル系と非リアル系を融合」したと評していただきました。
 リアル系と非リアル系の忍者、その対決を楽しんでいただけると思います。

[平成28年(2016)3月28日]

単行本版はこちらです。

忍び外伝

出版社:朝日新聞出版
刊行年月:2010年11月
価格:1,500円+税
判型:四六判

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

[PR]