書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

剣客子連れ旅

天誅の光

神谷仁/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年2月5日
価格:640円+税
判型:文庫

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

 シリーズ第三弾となる本書で、完結なのだろうか。妻子を殺され、剣友をかたきとして追う元かわなべ藩士・かたおかとらすけの復讐行が、ついに決着を見た。
 川鍋藩の江戸屋敷に乗り込み、おおになる冒頭で、いきなりこちらのテンションもアップ。そのまま虎之介の行動を、夢中になって追い続けた。仇だと思っていたがわりゅうろうも、藩内抗争の被害者であることが分かり、真の敵へと迫っていく。策をろうして罪なき者の命を奪いながら、それを忘れて平穏をむさぼろうとする権力者たちに対する、虎之介の怒りに共鳴せずにはいられない。
 また、本書の中で五年の歳月が巡る。幼かった虎之介の娘と、竜五郎の息子も成長。こまっしゃくれた言動を披露してくれる。こうした人物の成長も、物語の楽しみになっているのだ。終盤の展開がやや性急であり、もう少し虎之介を暴れさせてもよかったと思うが、そこまで願うのはぜいたくか。きっちりとデビュー・シリーズを書き上げた、新人の力量に拍手を送りたい。

細谷 正充

ほそや まさみつ

著者紹介ページへ
[PR]