書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

織江緋之介見参〈四〉

さんの太刀

上田秀人/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年2月5日
価格:690円+税
判型:文庫

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 愛する女たちの死を背負い、吉原暮らしを続ける若侍のほうこうを描く「おりすけ見参」シリーズも、はや四巻となった。緋之介と因縁を持つほっ家の江戸屋敷で起きた、えんしょうぐらの爆発。それを発端に、老中のぶんごのかみと、老中格のまつだいらずのかみおもわくが入り乱れる。そして騒動にかかわった緋之介は、次々と襲いくる刺客とたいする。
 と、いつものように血風吹き荒れる内容だが、今回は刺客の女を斬ったことで、緋之介が深い後悔に陥る。それを救うのが、吉原のふじしまゆうや、みつくにの異母妹のゆみといった女性陣だ。緋之介の態度は、かえって女を侮るものだといい、主人公を立ち直らせるのである。いや、上田作品の女性は、常に強くて魅力的だ。
 また、緋之介を狙い続けてきた松平伊豆守のもうしゅうが明かされる終盤で、物語は一気に巨大なスケールを獲得する。これぞ作者ならではの読みどころだ。まだ未熟な緋之介が切り拓く道は、どこに向かうのか。ワクワクしながら続きを待ちたい。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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