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秋山 香乃
秋山 香乃

獅子の棲む国

秋山香乃/著

出版社:文芸社
刊行年月:2002年11月
価格:1,800円+税
判型:四六判

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ミッション〝十年ずらせ〟

 プロになってからの二作目は、『む国』というあいのお話です。これは私一人で書き続けていれば一生生まれてこなかった作品で、編集者から、「前作『歳三往きてまた』の時代から前か後ろに十年ずらせ。主人公は幕府よりの人間だ」とのミッションを受けて初めて構想が生まれました。
 ――十年かあ、前にずらすと安政の大獄辺り、後ろにずらせば西南戦争くらいだよね……――
 私にとって明治という時代を描くのは、とても難しそうに思えたので、迷わず明治を選びました。どうせ書くなら難しそうな方が面白そうに思えたからです。それで西南戦争の史料をぱらぱらとめくって、何か自分の心がわしづかみにされるようなエピソードはないだろうかと当たったのですが、ありました、ありました。ばるざかでの会津抜刀隊の話です。例の「しんかたき」と叫びながらさつ軍に白刃で突っ込んでいったエピソードです。
 もう胸にぐっと来ましてね、「これだ、この人たちの気持ちを書こう」と思ったんです。視点の中心は会津に決まりました。後は会津の誰を主人公に据えるのか……。もっとも当時の会津人の気持ちを代弁できる人がいい。明治になっても会津人そのものとして生きた男です。
 それで、会津戦争の時に軍事総督として戦い、西南戦争の最終決戦では総攻撃の号砲を放ち、全軍一斉進撃の幕を切って落としたやまかわひろしに決めました。この人しかない……と。
 ただ、山川浩はしょうはい軍にいて田原坂には参戦していなかったので、このシーンのためにさいとうはじめかんちょうの仕事を請け負う自由度の高い人物に設定して配置しました。
『獅子の棲む国』は、戊辰の役から西南戦争までを描いた会津再生の物語です。

[平成28年(2016)3月16日]

文庫版はこちらです。

レーベル:中公文庫
出版社:中央公論新社
刊行年月:2012年11月
価格:781円+税
判型:文庫

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