書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

無言殺剣

火縄の寺

鈴木英治 /著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年1月7日
価格:660円+税
判型:文庫

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 シリーズ第一弾『無言殺剣 大名討ち』で、老中の座を争うとしなおの依頼を受け、見事にせき宿やど藩主のとよひろを暗殺した謎の用心棒・おとなしもく。しかし、騒動の余波は収まらない。やくざの伊之助を伴って江戸の寺に身を寄せた黙兵衛を、土井家と久世家の関係者が狙うのであった。
 本書の前半の展開は、実に静かである。江戸に来た黙兵衛とすけ。黙兵衛を狙う、ふたつの勢力。その動きが、堅実に積み重ねられていく。でも、これが面白い。しだいに接近していく因縁の糸が、どんどん緊張感を高めていくのである。
 そして後半に入ると、一挙に事態が動き出す。溜め込んできたものを吐き出すようなチャンバラの連続と、その中から立ち上がってくる黙兵衛の強さに、興奮が止まらないのである。
 しかも闘いの渦中で、新たな悲劇と因縁まで生まれるではないか。深まる混迷に、黙兵衛と伊之助はどう立ち向かうのか。シリーズ第二弾にして、早くも物語はトップ・スピードである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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