書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

織江緋之介見参〈三〉

孤影の太刀

上田秀人 /著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2016年1月7日
価格:680円+税
判型:文庫

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 愛しい女たちの死を背負う若侍・おりすけの青春のほうこうを描く人気シリーズの、第三弾がじょうされた。小野派一刀流と柳生新陰流の遣い手にして、次期藩当主のとくがわみつくにの友。江戸の吉原で暮らす緋之介に、前二作で敵となった老中・まつだいらずのかみが、新たに意趣返しを仕掛けた。さらに老中のぶんごのかみが新たな敵として現れ、権力者との闘いは、激しさを増していく。
 その一方で、ニュー・ヒロインとして、光圀の異母妹のゆみが登場。馬術を愛好する男装の美女だ。身分の差を気にせず光圀と仲のいい緋之介に反発する真弓だが、彼の凄絶な生き方の一端を知り、意識を変えていく。この先、優れたツンデレになりそうである。
 もちろんストーリーも快調。たかじょうを巡る騒動と、三年前に起きたあい藩のしな家の悲劇。これを結びつけた真相が読みごたえあり。また、緋之介の剣が発展途上であることも、明らかになった。主人公の成長と、シリーズの行方。どちらもが楽しみでならないのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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