高橋由太の「もののけ犯科帳」シリーズ第四弾は、待望の完全新作である。収録されているのは三作。冒頭の「化け物あいあい」は、中篇である。前作で登場した、京の妖かし斬り師のミクニも加わり、さらに賑やかになった飯屋の「稲亭」。そこに盲目の少女を助けるため、化け狸のぽん太がやって来る。だが、妖怪改方長官の意外な提案から、事態は思わぬ方向に捻じれていった。悪党退治を織り込みながら爆走する、ドタバタ騒ぎが愉快だ。
続く「もののけ天下一武道会」は、もののけ最強を決める武道会で、江戸妖怪(なぜか妖怪改方も参加)と奥州妖怪が激突する。ユーモラスな展開から、シリアスに一転するストーリーがお見事。
そしてラストの「稲亭の休日」は、お馴染みの妖怪たちが、「稲亭」の板長を決める料理勝負を始めてしまう。騒々しい妖怪たちの日常が、これまた愉快であった。レギュラー・キャラも増えて、ますます面白くなったシリーズ。さらなる作品が楽しみでならない。