書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

若さま影成敗

あまから春秋

倉阪鬼一郎 /著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年12月3日
価格:630円+税
判型:文庫

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 ああ、よかった。くらさかいちろうの「若さま」シリーズの第六弾が出版されたよ。前作のラストが大団円風だったので、シリーズ完結かと心配していたのだ。
 しかし物語は、新たなステージに入った。将軍のごらくいんでありながら、せいの料理人として生きることを決意したとびかわかくしんは、愛するおみつと夫婦になり、団子坂で飯屋「あまから屋」を始めたのである。次々とやって来る、おみのメンバーが創り出す、幸せ空間が気持ちいい。
 だが一方で、奇妙な判じ物を残す辻斬りが発生。いつしか一件に巻き込まれた角之進は、自身と深い繋がりを持つ敵と、闘うことになるのである。人の世の、甘さと辛さが入り混じった、絶妙の味わいが嬉しい。
 また、シリーズの美味しいアクセントになっている料理も、注目ポイントだ。あきさばの紅白煮・いわしつみれ汁・くるまげ……。まったくもう、どれもこれも食べたくて堪らないじゃないか。相変わらず、読むとお腹が空いてしまうのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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