第684回 きっと、うまくいく
令和七年一月(2025)内幸町 内幸町ホール
インド映画は長い。途中で歌って踊って、上映時間はたいてい三時間近い。それでつい敬遠しがちである。二〇一三年の公開時に話題になっていながら見逃していた学園コメディ『きっと、うまくいく』を内幸町ホールのインド映画祭でようやく観ることができた。時間が長くても全然飽きず、最初から最後まで存分に楽しめたのだ。
インドの名門工科大学に新入生として入学した三人の学生の友情物語。ここに描かれているのは、大学とはどんなところか。学問とはなにか。人はなんのために勉強するのか。向学心は出世につながるのか。一流大学をいい成績で卒業し、いい企業に就職するのが果たして人の幸福であろうか。いろいろと考えさせられる。
新学期、新入生たちの寮生活が始まる。ファルハーンは平凡な学生で親の言いなりになりエンジニアを目指している。同室のラージューは家庭が貧しく、家族のためにも一流企業に就職しなければならず、信心に頼っている。そして、ふたりの前に現れるのが型破りなランチョー。なんでも工夫し、苦境になれば「きっとうまくいく」と口に出し、うまく切り抜ける。三人はすぐに親友となる。
ランチョーは保守的な学長の教条主義に反発しながらも、成績は常にトップ。ファルハーン、ラージューとたまたま潜り込んだパーティで、ランチョーは美人の医学生ピアと出会い、惹かれ合うが、彼女は学長の娘だった。
そしてもうひとり、ガリ勉で教科書を丸暗記しながらも、ランチョーに一位を奪われ常に二番手のチャトルが妬んで絡む。
首席で卒業したランチョーは、みんなの前から突然に姿を消し、その後の消息はわからなかった。十年後、ファルハーンはラージューとともにチャトルに再会し、ランチョーのミステリアスな現状を知らされ、ピアも誘って会いに行く。
インド映画なので、歌と踊りが各場面を盛り上げ、ストーリーも清々しいコメディであり、ほぼ三時間の上映時間があっという間に過ぎてしまった。
きっと、うまくいく/3 Idiots
2009 インド/公開2013
監督:ラージクマール・ヒラーニ
出演:アーミル・カーン、R・マドハヴァン、シャルマン・ジョーシー、カリーナ・カプール、ボーマン・イラーニー、オミ・ヴァイディア