神谷仁先生
『剣客子連れ旅 竜虎の父』
刊行記念インタビュー
2015年6月に、『剣客子連れ旅 竜虎の父』(徳間文庫)で、時代小説界に鮮烈なデビューを飾った
歴史行路さんがプロデュースした最初の作家さんでもある神谷先生に、刊行までの
どうぞお楽しみください。
2015年6月25日
於/都内某所
インタビュー&構成/
印税生活は夢か
麻嶋美波 (以下、麻嶋)今日は、初めてお目にかかるということで、だいぶ緊張していますが、どうぞよろしくお願いいたします。
神谷仁先生 (以下、神谷)こちらこそ、人生初のインタビューで、かなり緊張していますよ。
麻嶋 では、緊張しているもの同士として、よろしくお願いいたします。余計なお時間を取らせてしまって、ご執筆に悪影響が出てはいけませんので、さっそく本題に入らせていただきますね。まずは単刀直入な質問ですが、なぜ作家になったのでしょうか?
神谷 うーん……なんとなく、としか言いようがありませんね。
麻嶋 もともと作家になりたいと思っていたわけではないのですか?
神谷 全然思っていなかったわけではないんですが、自分にとっては、本当に運が良く、奇跡的なことでした。より正確に言えば、「なった」というよりは、「なれた」という感じでしょうか。書店さんに自分の本が並ぶのを目にするまで、「なった」のを実感できませんでしたし。
麻嶋 では、少しは作家になりたかったお気持ちがあったのですね。ちょっとホッとしました。その理由を教えていただけますか?
神谷 作家になりたかった理由ですか……むろん夢の印税生活(笑)。本を一冊出せば、
麻嶋 出版不況の今、印税生活は、夢のまた夢ですものね。発売される前に見本をご覧になったと思うのですが、そのときカバーやオビをご覧になって、一番初めにどのようにお感じになりましたか?
神谷 題名の、ロゴタイプの収め方が上手くて、格好よく感じました。書店さんで平積み――と言うんでしょうか――されたとしても、
麻嶋 多くの作家さんが、デビュー作が発売されると、まずは近所の書店さんに行って、並んでいるのを確かめる。次に、初めの1冊目が売れるのを目撃できるまで、ずっとそばで本を選んでいるフリをする、といいますけれども、先生はどうでしたか?
神谷 そうですね。最初に手に取ってくれた方に、「ありがとうございます」と、思わず
麻嶋 それは意外ですね。とてもデビュー作とも思えないほどの高いクオリティーでしたので、不安よりも期待の方が勝っていたのだろうなと思っていました。
神谷 いえいえ、とんでもありません。小説の基本を習ったわけでもないですし。
麻嶋 間違いなく才能がおありだと思います! その才能を発揮される前、作家デビューする以前は、どのようなお仕事をされていたのでしょうか?
神谷 とても、人さまにお話しできるような仕事ではありません。ですが、後ろめたいことはしてませんので、ご安心ください。
麻嶋 そ、そうなんですね……。ちなみに、現在は作家専業でしょうか? 別にお仕事を持っていらっしゃるのですか?
神谷 今さらどこも雇ってくれるところがありませんので、専業とならざるをえません。
麻嶋 すでに専業になっていらっしゃったんですね!? 大変失礼いたしました。それだけのご覚悟をもって、『竜虎の父』をご執筆されていたと……。
神谷 ですので、人ひとりを助けると思って、ぜひご購入をお願いしたいです。
麻嶋 先生、そんな頭を下げずとも……。お名前はご本名でしょうか? ペンネームであれば、その由来を教えてください。
神谷 むろん、ペンネームです。本名ですと、いろいろまずいこともありますし……。由来も秘密ということにしておいてください。
期待の次巻はいつ発売?
麻嶋 では、デビュー作をご執筆するにあたって、ご苦労された点がありましたら、ぜひ。たとえば、筆が行きつ戻りつして、まったく進まなかったとか、そういうことはありましたか?
神谷 執筆スピードは、原稿用紙換算で1日20枚程度です。脱稿までは、そうですねぇ……1か月弱だったでしょうか。執筆における苦労ですが、人生を生きる苦労に比べたら、とても苦労とはいえません。けっこう楽しく書けました。
麻嶋 なにかこう、先ほどの
神谷 最初の10行が決まれば、あとはどんどん浮かんできます。主人公が勝手に動き始めたら、周りの登場人物も自然に動き出して、ああいう物語になりました。筆の流れに任せた結果といいますか。
麻嶋 それはなかなかできない書き方ですね!? 登場人物が勝手に動き回ったということですけれども、思い入れのあるのは誰でしょう? 書きやすかった人物、逆に書くにくかった人物はいるのでしょうか?
神谷 みんな書きやすかったですし、書きにくかったです。すべてを文字で表現しなければならない小説のキャラクターは、本当に難しいですね。
麻嶋 文字、絵、映像、それぞれ難しさが違うのでしょうね。赤ん坊や小さな子どもを描くのがとてもお上手ですが、なにか
神谷 秘訣なんてとても。自分がいい年なのに、子どものようだからでは。ツレアイからもよく言われます。いつまで
麻嶋 そうなんですね。
神谷 それは何とも、どうするかまでは。ただし、気持ちのすれ違いのはざ間で、いろいろな事件に巻き込まれる。そんな展開にしたいと考えています。
麻嶋 なるほど、親友になるまでの経緯が描かれることを期待しています。また、意外な正体で、さらに意外な行動に出るヒロインのお
神谷
麻嶋 詳しくは企業秘密なわけですね(笑)。ありがとうございます。ところで、前半の舞台となった川鍋藩は架空の藩だと思いますが、モデルとなった藩はありますか?
神谷 物語を読んでいただけば分かると思いますが、川鍋は
麻嶋 (笑)そろそろ時間も押し迫ってまいりましたので、まとめに入りたいと思いますが、次巻の刊行はいつ頃の予定でしょう?
神谷 6月から7月にかけて書きますから、あとは徳間書店さんの予定に合致すればと。なるべく、早く出していただけたらと願っています。
麻嶋 ということは、年内には2巻目が刊行されるだろうと思いますが、シリーズは何巻まで続くご予定でしょうか? ※編集部註:10月に刊行されました。
神谷 続くも続かないも売れ行き
麻嶋 そうですね! では最後に、歴史行路さん初プロデュースの作家さんとして、なにか一言お願いします。
神谷
麻嶋 (笑)大丈夫ですよね、歴史行路さん?
編集部 大丈夫です!
(了)
終始
初対面で緊張する私を
『剣客子連れ旅 竜虎の父』の内容につきましては、
インタビューでも少し触れましたが、
年内に刊行予定の次巻を今から心待ちにしています!