書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

もののけ犯科帳

雷獣びりびり

高橋由太/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年9月4日
価格:630円+税
判型:文庫

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 高橋由太の「雷獣びりびり」シリーズの第一弾が、ちょっとタイトルを変えてリニューアル。もともと面白かった物語が、加筆・修正によって、さらにパワーアップした。
 妖怪の起こした犯罪や問題を解決する〝妖怪あらためかた〟のふゆさかとうと、使い刀鬼のカタナ。まだ八歳の幼女だが刀弥の許嫁いいなずけとうと、彼女になついている子供の雷獣のクロスケ。統子の母親と、彼女の営む飯屋「いなてい」で働く妖怪たち……。妖怪改方の新たな長官が騒動を呼ぶ「妖怪改方」から、山に捨てた老母がやまうばになって戻ってくる「山姥」まで、収録された全五話は、人間と妖怪が入り乱れての大騒ぎである。
 なかでも秀逸なのは、徳川家康の死因となった天ぷらを作った罪で首をねられた料理名人・まないたろうの幽霊と、「稲亭」の妖怪たちが料理勝負をすることになる第三話「ほうちょう幽霊」だ。時代による天ぷらの違いを生かした、勝負の行方ゆくえが優れていた。作者が妖怪時代小説のエースになった理由が実感できる好篇だ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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