書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

夢草紙人情おかんヶ茶屋

雪まろげ

今井絵美子/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年9月4日
価格:640円+税
判型:文庫

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 ふわりと相手を包み込む魅力を持つ、四十路半ばのおふくが営む「おかんヶ茶屋」と、その近くにある「ひぐらし店」の面々の人生を、人情たっぷりに描いた人気シリーズも、本書で六冊目となった。いつも常連がにぎやかな「おかんヶ茶屋」の、アットホームな雰囲気が気持ちいい。しかし当然ながら、人生楽しいことばかりとはいかないようだ。
 子供が生まれた喜びと、歳の離れた夫が病死した悲しみを、同時に味わった女性が、母親や周囲の人々に見守られて気力を取り戻していく。この話を始め、今回のエピソードには、親子の関係に焦点を合わせたものが多い。そこに本書の狙いがあるのだろう。さまざまな親子の情愛が、堪能できるようになっているのだ。
 また、お蝙の作る料理も見逃せない。いそたまご・うつし豆腐・りんさんしょうえ・きゅうたまご……。どれもこれも、実にしそうなのだ。文章で味わう数々の料理も、シリーズの大きな読みどころになっているのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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