書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

織江緋之介見参〈二〉

不忘わすれじの太刀

上田秀人/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年9月4日
価格:690円+税
判型:文庫

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 愛する女性を失ってから三年。流離の旅を続けていたおりすけは、たかさき城下のはずれで暮らす、訳ありのかたなきょくせんの世話になっていた。しかしくら藩主・ほっまさのぶの幕政批判が、緋之介をしゅの世界に引き戻す。旧知のとくがわみつくにの依頼により、正信の護衛を引き受けたことから、再び、幕府老中・まつだいらのぶつなの放った刺客たちと、激しい闘いを繰り広げるのであった。
「織江緋之介」シリーズの第二弾となる本書は、前作と同様、チャンバラに始まりチャンバラに終わる。小野派一刀流と柳生やぎゅう新陰流を遣う主人公の剣が、次々と権謀を斬り裂いていく様は、痛快の一言である。
 さらに作者ならではの、歴史上の事実を巧みに利用した徳川史も健在。今回は、駿河するがだいごんただながの一件に関する、幕府と高崎藩の秘密が暴かれる。また、じゅんというテーマが、全体を貫く柱となっており、本書に深みを与えている。シリーズ二冊目にして、早くもトップギアといいたくなる面白さなのだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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