書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

千年鬼

西條奈加/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年8月7日
価格:630円+税
判型:文庫

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 日本ファンタジーノベル大賞を受賞して、以後、時代小説を中心に活躍している。本書は、そんな作家歴を持つ西さいじょうらしい時代ファンタジーだ。
 友達になった少女にの能力を使い、辛い真実を暴き、人を鬼に変える〝鬼の芽〟を植え付けてしまった小鬼。そのため何度生まれ変わっても鬼の芽の宿業に捕われた少女を救うため、千年の旅に出る。
 物語は全七話で構成されている。酒浸りの父親を助けようと、奉公先のイジメに耐える少年。愛した人を殺した男を、自分に仕えさせていたぶる姫君。幼い頃の罪を忘れた老婆……。さまざまな時代の、鬼の芽を持つ者を通じて、人が生きることの苦しみや悲しみや、罪と罰が活写されていく。
 登場人物を見つめる作者の眼差しは優しいが、だからといって甘くはない。自分の罪や世の中の理不尽などを乗り越えなければ、希望は手に入らないという、作者の姿勢が貫かれているからだ。そこに本書の、たまらない魅力がある。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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