書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

若さま闇仕置き

狐退治

倉阪鬼一郎/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年8月7日
価格:630円+税
判型:文庫

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 剣は柳生新陰流。将棋は負けなし。料理は修行中。徳川十一代将軍のごらくいんで、さっそうと悪を退治する。なんとも凄い設定の貴種ヒーロー、とびかわかくしんが活躍する「若さま闇仕置き」シリーズも、本書で第五弾に突入した。
 湯屋の看板娘のおみつと夫婦になり、ふたりで料理屋を開くことを決意した角之進。その許可を得るために、高僧のてんくうしょうにんと、将棋の勝負をすることになった。というのが物語の縦糸なら、横糸は黒狐の面を被った凶賊の横行だ。将棋勝負の行方や、凶賊の正体など、ずいしょに工夫が盛り込まれており、最初から最後まで楽しく読める。時代エンターテインメントのツボを心得た、作者の書きっぷりは、さすがというしかない。
 また、次々と登場する料理も、シリーズの大切な読みどころ。四角い胡麻豆腐を散らしたうどんや、かば焼きのように見せたやきいもなど、どれもこれも美味おいししそう。読めば何かを食べずにはいられない〝飯テロ〟小説でもあるのだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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