書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

極楽安兵衛剣酔記

幽霊小僧

鳥羽亮/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年7月3日
価格:620円+税
判型:文庫

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 りょうの「ごくらくやすけんすい」シリーズも、ついに大台の第十弾となった。料理屋「ささがわ」にそうろうしながら、極楽とんぼのように勝手ままに暮らしている旗本の三男坊・ながおか安兵衛が、今回かかわるのは、奇怪なつじり事件である。
 料理茶屋「屋」の客が、幽霊と鬼にふんした辻斬りに、次々と殺された。困った「賀茂屋」の主人から、帰り客の用心棒を頼まれた安兵衛。結構な金にホクホク顔であったが、「笹川」の客まで斬り殺される。いきなり身近になった事件を追う安兵衛と仲間たちの前に、やがてどす黒い陰謀が浮かび上がってくるのだった。
 巻を置くあたわずとはこのことか。スピーディーな展開の物語を、夢中になって読んでしまった。もちろん、鳥羽作品のお目当てである、迫真のチャンバラ・シーンも、ずいしょに挿入されている。安兵衛の〝とんぼ剣法〟のかっこうよさに、ドキドキワクワクが止まらない。チャンバラ愛好家を〝極楽〟に案内してくれる、素晴らしい作品なのだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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