書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

弁天の夢

白浪五人男異聞

矢野隆/著

出版社:徳間書店
刊行日:2015年6月9日
価格:1,800円+税
判型:単行本

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 ほん右衛もんべんてんぞうきく すけただのぶへいあかぼしじゅうざぶろうなんごうりき まる。歌舞伎でおみの義賊〝白波五人男〟が、幕末の江戸に参上。しかし時の大老・なおすけの意を受けた隠密の罠にかかり、人殺しの汚名を着せられてしまった。そこに駄右衛門の旧知の脱藩浪士や、弁天たちをめた女の事情も加わり、事態は紛糾。駄右衛門一味との殺し合いを望む隠密と、激しい闘いを繰り広げるのだった。

 無頼に生きる五人男の肖像を、魅力的に立ち上げた作者は、桜田門外の変に至る流れを絡めながら、義賊と隠密の闘いを、迫真の筆致でつづっていく。力丸の肉弾戦。十三郎のおお。利平の一撃。弁天のけん殺法。駄右衛門の死闘。デビュー当初から、ユニークな格闘シーンにけていた作者だけに、どのアクションもすごく、そして熱い!

 さらに物語から浮かび上がる、五人男の毅然たる魂と、強い絆も、大きな読みどころになっている。痛快極まりない、江戸の悪漢小説なのだ。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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