書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

剣客子連れ旅

竜虎の父

神谷仁/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年6月5日
価格:640円+税
判型:文庫

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 妻と息子を殺したのは、竹馬の友の加川竜吾郎かがわりゅうごろうなのか。生き残った幼い娘と、ある理由からこれまた幼い竜吾郎の息子を箱車くるまに乗せ、仇討ちの旅に出た、川鍋かわなべ藩士の片岡虎之介かたおかとらのすけ。だが、たどり着いた江戸の地で彼は、あまりにも愚劣な藩の抗争に巻き込まれていく。

 タイトルや粗筋あらすじを見れば明らかなように、本書の発想の原点は、小池一夫こいけかずお小島剛夕こじまごうせきのコンビによる時代劇画『子連れ狼』だ。しかし、ストーリーは、まったくの別物である。呉越同舟ごえつどうしゅうのような箱車を押しての、虎之介の仇討ち旅は、驚愕の連続。女渡世人のおふじが道連れになったり、藩士殺しのぎぬを着せられたりと、予断を許さない展開が繰り広げられていくのだ。

 その結果、仇を追いながら、自身は藩から追われるという状況に陥った虎之介は、訳が分からないまま、刀を抜くことになる。初めての人斬りを経て、修羅の道に踏み出した虎之介の人生がどうなるのか。一気読みで、確かめてもらいたいのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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