書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充

戦国の龍虎〈一〉

上田城逆襲戦

津野田幸作/著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2015年6月5日
価格:630円+税
判型:文庫

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 戦国乱世をしたたかに生き抜いてきた真田昌幸さなだまさゆき。だが、小牧こまき長久手ながくての戦いを経て、羽柴秀吉はしばひでよしとの和睦わぼくを余儀なくされた徳川家康とくがわいえやすが、北条ほうじょう家との同盟のために、真田家所領の沼田ぬまた城を差し出そうとしたことで、堪忍袋の緒が切れた。家康に反旗をひるがえした昌幸は、信州上田しんしゅううえだ城で、徳川軍を迎え撃つ。その戦いの渦中で、若き幸村ゆきむらの軍才が弾ける。

 小牧・長久手の戦いを経て始まった、上田合戦を主導したのは真田昌幸である。だが作者は、まだ若い幸村を主役にして、その軍才を開花させる。さらに幸村を見込んだ、上杉うえすぎ家の直江兼続なおえかねつぐと、天下の豪傑・前田慶次郎まえだけいじろうまでが、戦いに参加するのだから堪らない。斬新にして痛快な上田合戦を、存分に楽しめるのである。

 しかもラストでは、意外な正体を秘めた三好清海みよしせいかいまで加わり、上田城が戦国梁山泊りょうざんぱくの様相を呈してくる。六文銭ろくもんせんの旗の下に集結した好漢たちが、これからどんな大暴れをしてくれるのか。続刊が待ち遠しいのである。

細谷 正充

ほそや まさみつ

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