源氏物語 姫君仏教トーク
英月
英月

 紫式部『源氏物語』に登場する姫君たちが、英月に恋愛相談をした?
 私たちが悩み苦しむ、すべての問題の答えが、仏教(=お経さん)にあるのであれば、恋愛問題の答えも必ずあるハズ。
 古典を学べるうえに仏教まで学べ、しかも恋愛の悩みも解消できる、お得すぎる恋愛相談。仏教ガールズトークが爆発する!?

第1話

今回の悩み多き姫君
「藤壺宮」

 光源氏ひかるげんじの義母。光源氏の生母の面影を宿す、先帝の第四皇女。輝くばかりの美しさから、「輝く日の宮」と称された。

 幼くして母を亡くした光源氏は、母、桐壷更衣きりつぼのこういに似ていると教えられた5歳違いの藤壺に懐きます。元服後には、いつしかその思いが恋心へと変わり、ひそかに通じるようになりますが、それにより藤壺はのちに冷泉れいぜい帝となる皇子みこを出産。何も知らない光源氏の父、桐壷帝はこの皇子を「きずなき玉」と溺愛します。罪の呵責かしゃくに悩み続けた藤壺は光源氏との関係を断ち、桐壷帝の一周忌には二十九歳で出家をします。皇子が冷泉帝として即位をしたのを見届けた四年後、三十七歳で死去。光源氏にとって理想の女性であると共に、一生にわたって深く影響を受けた女性。

◎藤壺宮の悩み

 栄華を極めたような光源氏の生涯は、同時に罪を内包し続けた生涯でもありました。その罪の原点ともいうべき出来事が、藤壺宮との出会いです。またそれは藤壺の宮にとっての苦悩ともなります。

 では、藤壺宮の苦悩とは、何でしょうか?

 夫である時の帝を裏切ったこと。不義密通です。――と、平安時代だけでなく、平成の現代にもそぐわない、時代考証的に中途半端な言葉を引きずり出してきましたが、要は不倫です。

 しかし不倫という言葉、美しい言葉ではないですね。この言葉が文字となって現れただけで、文章が下世話なものとなるような気がします。けれども、そもそも私に高尚な文が書けるハズもなく、ただの杞憂きゆうでしかないのですが……。

 さて話を戻して、“不”義密通、“不”倫の末に“不”貞の子を産んだ藤壺宮。光源氏に出会ってからの「不」の三連発のような人生は、まさに自己と自己の感情を“不”と否定する人生だったのではないでしょうか。

 愛する人との出会いが叶いながらも、愛し続けることが自分を否定することに繋がる。いのちのよろこびが、同時に、そのいのちを削ることになってしまう……これほど辛いことはありません。

 ではもし、時をさかのぼり、『源氏物語』の中に入ることができ、藤壺宮に悩みを打ち明けられたら?――

 私は何と答えるのでしょうか。

英月

英月

えいげつ

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