書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

洛中洛外画狂伝

狩野永徳

谷津矢車/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行年月:2018年2月7日
価格:860円+税
判型:文庫

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

 歴史・時代小説界の俊英・谷津矢車のデビュー作が、装いも新たに復刊された。あの傑作「洛中洛外図屏風」を描いた絵師・狩野永徳の前半生を活写した、歴史小説である。
 絵師の名門である、狩野派の家に生まれた源四郎(後の永徳)。粉本を手本とした、狩野工房の創作手法に馴染めず、父親と衝突ばかりしている。そんな源四郎の才能を見出したのが、室町十三代将軍の足利義藤(後の義輝)だ。やがて成長した源四郎は、悩み苦しみながら、自分の絵の世界を求め続けるのだった。
 自分だけの絵を描きたいという源四郎の渇望は、そのまま作者自身の姿に重なる。本書は、歴史・時代小説界に、己だけの独創的な物語世界を表現したいという、谷津矢車の宣言なのだ。デビュー作だからこそ、強い覚悟と心意気を示した。だから作品が、これほどの熱気を孕んでいるのだ。
 また、戦国の実在人物と、歴史の流れを絡めたストーリーも素晴らしい。作者の〝書狂伝〟は、ここから始まる。

〝狩野永徳〟シリーズはこちらです。

安土唐獅子画狂伝

狩野永徳

出版社:徳間書店
刊行年月:2018年3月8日
価格:1,600円+税
判型:四六判

amazon.co.jpセブンネットショッピング

TSUTAYAオンラインショッピング楽天ブックス

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

著者紹介ページへ
[PR]