書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

江戸家老塩谷隼人〈一〉

人質は八十万石

牧秀彦/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年10月5日
価格:630円+税
判型:文庫

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 幕府に睨まれる尼崎藩の窮地を何度も救った元江戸家老・塩谷隼人を主人公にした、牧秀彦の人気シリーズは、本書でさらなる進化を遂げた。なんと隼人が、江戸家老に返り咲いたのだ。だが、藩の内証は、相変わらず厳しい。両替商の加島屋正誠を頼るため、隼人はかつて命を狙われたことのある大坂を目指すのだった。
 危険があるのは分かっているが、金がないため家仕の金子作左衛門しか大坂に連れていけない隼人。そんな彼を守ろうと、シリーズでお馴染みの日比野左内・柴崎条太郎・松平信十郎の三人が立ち上がる。なんとも嬉しい展開だ。
 ところが大坂の地では、尼崎藩の者たちが正誠を攫うという、驚天動地の事件が発生。老中から隼人抹殺を命じられている商人の暗躍もあり、事態は紛糾する。それを剣の腕と、誠心誠意により解決する、隼人の振る舞いが恰好いい。老骨にして硬骨。塩谷隼人こそが、牧作品最大のヒーローであることを、本書を読んであらためて確信した。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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