書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

はぐれ十左暗剣殺

怪盗流れ星

和久田正明/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年8月3日
価格:650円+税
判型:文庫

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 北町奉行所定町廻り同心から、火附盗賊改め方の同心となったかぶらじゅう。正義感が強く、悪党どもに容赦をしない彼が、シリーズ第七弾となる本書で、意外な姿を見せる。なんと〝流れ星〟と呼ばれる義賊を気に入り、見逃してしまうのだ。これには冒頭からビックリである。
 その流れ星こと半次郎は、父親と暮らすお菊という、気立てのいい娘に惚れ込んだ。しかし父娘は、加賀の大聖寺藩の放った刺客に狙われていた。父娘に、いかなる秘密があるのか。半次郎は、お菊たちを助けようとするのだが……。
 ここから物語は、作者の和久田正明がシナリオ・ライター時代に手掛けたテレビ時代劇を彷彿させる、非情な展開を迎える。さらにそれを受けた、以後のストーリーが凄まじい。なんと十左たち火附盗賊改め方と、魅力的な盗賊たちが手を組んで、大聖寺藩の悪党どもに挑むのだ。鬼平こと長谷川平蔵まで加わった、クライマックスの闘いは、痛快至極。浮世の憂さが吹っ飛ぶ面白さだ。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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