書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

明屋敷番秘録

はかりごと

鈴木英治/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年7月7日
価格:660円+税
判型:文庫

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 愛妻のきぬ、竹馬の友のたかしなきみじょう、気のいい中間の善吉。心の通じ合う人々に囲まれた書院番のはたおかしゅんは、充実した毎日を過ごしていた。だが、たった一日の出来事で、すべてが変わる。しなる剣を使うなぞの襲撃者と闘い、さらには米問屋に押し入った八人のぞくを退治したのだ。妻や同輩から称賛される隼兵衛。ところが賊の首領を殺したことをとがめられ、謹慎処分になってしまう。あまりに理不尽な仕打ち。しかしその裏には、あるおもわくが隠されていた。
 文庫書下ろし時代小説の雄・鈴木英治の新シリーズは、いきなり主人公が不可解な状況に投げ込まれる。剣の達人で、気持ちのいい隼兵衛が、何故、こんな苦しみを味わうのか。疑惑に満ちたストーリーが、読み手の心をつかんで離さないのだ。
 そして終盤のサプライズをへて、明らかになる真実。これにより本書が、大きなドラマのプロローグだということが判明する。だから隼兵衛が本格的に活躍するであろう、次巻が待ち遠しい。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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