書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

義経号、ほくめいはし

辻真先/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年6月2日
価格:800円+税

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 日本ミステリー界のきょしょうである、辻真先の新刊が刊行された。明治の北海道を舞台にした、なぞと冒険のエンターテインメントだ。
 明治十四年、北海道に行幸する天皇のお召し列車「よしつね号」を妨害する計画を、とんでんへいくわだてていた。原因は、北海道大開拓史・黒田清隆が犯人と疑われている、暴行と殺人事件だ。酒乱の黒田ならば、ありえぬ話ではない。この件を解決すべく北海道に向かったのが、けいちょうの藤田五郎(元新撰組三番隊長・斎藤一)と、清水のちょうの子分のほういん大五郎であった。さまざまな過去を持つ人々の、情念が渦巻く北の大地で、ふたりは捜査を進める。
 異色のコンビによる殺人事件の捜査を、じっくりと書き込んだ作者は、後半で、日本初の夜行運転となったお召し列車の攻防戦を、ノリノリで活写する。ここが、手に汗握る面白さだ。しかもその闘いの最中に、事件の謎解きまで織り込んでしまう。読みどころ山盛り(なにしろ狼少女まで登場するのだ)の、快作なのだ。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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