書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

雑賀の女鉄砲撃ち

佐藤恵秋/著

出版社:徳間書店
刊行日:2017年5月31日
価格:2,000円+税
判型:四六判

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 戦国ガン・アクションを引っ提げて、新進気鋭の作家が現れた。作者の佐藤けいしゅうとは何者だ。いや、誰でもいいじゃないか。こんなに面白い物語を書いてくれたのだから。
 本書の主人公は、紀州さいみやごうおとの家に生まれた蛍だ。それぞれの個性を持つ、四人姉妹の末娘で、鉄砲の天才である。幼くして目撃した長篠の戦いの鉄砲三段撃ちに衝撃を受けた蛍は、鉄砲の腕を磨きながら、姉たちと共に三人組撃ちを開発。織田信長から徳川家康へと流れていく激動の時代を、雑賀十ヶ郷の鈴木孫一たちと戦火を交えながら、蛍は駆け抜けていく。
 何かに取り憑かれたように鉄砲にのめり込む蛍が、戦国の有名な合戦で活躍する。戦の行方さえ左右するガン・アクションに、興奮せずにはいられない。
 さらに蛍を含む四姉妹の、人生航路も留意すべきだろう。作者はオルコットの名作『若草物語』を意識しながら、独自の戦国四姉妹物語を創り上げた。そこも本書の、大きな魅力となっている。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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