書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

無言殺剣

柳生一刀石

鈴木英治/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年5月2日
価格:660円+税
判型:文庫

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 鈴木英治の「無言殺剣」シリーズが、ついに完結を迎えた。正体が明らかになった、謎の浪人・音無黙兵衛。黙兵衛を慕う若者の伊之助。過去の事件により、命を狙われた初美。激しい闘いを繰り広げながら、三人は奈良へと至った。相思相愛の伊之助と初美は、いいムードだ。若者同士の恋愛が、爽やかな読みどころになっている。
 しかし一方で、初美の父親を殺し、黙兵衛の父親を死に追いやった、御側御用取次の水野忠秋の魔手が迫る。さらに最強の敵である、荒垣外記も、奈良に到着。柳生石舟斎と天狗の伝説の残る一刀石の前で、壮絶な斬り合いが始まるのであった。
 ストーリーの結末は、読者自身に確認してもらうとして、ここでは黙兵衛と外記のチャンバラに注目したい。実在する一刀石の前という舞台が最高なら、迫真の斬り合いも最高。外記の秘策を黙兵衛がいかに破るか、興奮必至の面白さだ。全十巻のシリーズの締めくくりに相応ふさわしい真剣勝負に、大満足なのである。

細谷 正充

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ほそや まさみつ

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