書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

見破り同心 天霧三之助

誉田龍一 /著

レーベル:徳間文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年4月7日
価格:700円+税
判型:文庫

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 星の数ほどある捕物帖の中でも、本書は実にユニークなものといえよう。なんと物語の冒頭が殺人シーンから始まり、犯人の正体や犯行方法が読者に明かされているのだ。したがって読者の焦点は、探偵役が事件の真相をいかに見破り、犯人を捕らえるかにある。テレビドラマの『刑事コロンボ』や『古畑任三郎』でおみの〝倒叙ミステリー〟のスタイルを、捕物帖でやったところに、たまらない魅力があるのだ。なお作者の誉田龍一は、『刑事コロンボ』の大ファンとのことである。
 実際、探偵役である南町奉行所同心・天霧三之助が、すぐさま犯人を見抜き、ねちっこく追いつめていく様は、コロンボをほう彿ふつとさせた。ふうぼうは冴えぬが、鋭い推理力を発揮する三之助が、実に魅力的なのである。
 しかも本書は、それだけで終わらない。後半になると、意表を突いた展開で、読者を翻弄するのだ。最後まで面白く読ませる手腕は、流石さすがの一言。シリーズになることを、大いに期待しているのである。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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