書物目利所 達眼老練の四〇〇字書評 細谷正充

細谷 正充
細谷 正充

くろがねの王

流星の小柄

平谷美樹/著

レーベル:徳間時代小説文庫
出版社:徳間書店
刊行日:2017年4月7日
価格:720円+税

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 二〇一七年の前半は、平谷美樹祭りである。なにしろ四社合同企画で、次々と新刊が刊行されているのだ。本書は、その第二弾となる。主人公と仲間たちが〝鉄〟に関する大騒動に立ち向かう、壮大なスケールの伝奇小説だ。
 金矢藩の鉄山奉行だった鉄鐸重兵衛は、藩の改易により、今は江戸で屑鉄買いをしている。三人の仲間と同じ長屋で暮らしており、それなりに毎日を過ごしていた。しかし、流星鉄(隕鉄)の小柄を持ち込んできた子供が、家族もろとも殺されたことを切っかけに、とんでもない騒動に巻き込まれるのだった。
 主人公の出自や藩士時代の役目。騒動の焦点となる兼地領の鉄山。昔から製鉄を生業としてきた歩き筋踏鞴衆から聞く、製鉄の歴史。本書の内容は、とにかく〝鉄〟まみれである。博覧強記の作者による、さまざまな鉄に関する話が興味深い。
 そしてクライマックスでは、鉄を使った、驚くべきアイディアを投入。読者の度肝を抜いた。この面白さ、鉄板である。

細谷 正充

細谷 正充

ほそや まさみつ

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