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谷津 矢車
谷津 矢車

おもちゃ絵芳藤

谷津矢車/著

出版社:文藝春秋
刊行年月:2017年4月24日
価格:1,650円+税
判型:四六判

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創作への信頼

「作家って楽しいですか?」
 ある飲み会の席で、業界の外の方からそう聞かれてしまいました。
 めちゃくちゃ楽しいです、と答えると、その方は、
「そういうもんですかねえ」
 と、ろんに首を振り、他の人に同じ話を振っています。一人取り残されたわたしはといえば、ビールの泡を眺めながら物思いに沈んでしまいました。
 結構楽しいんだけどなあこの仕事。確かに編集者さんが鬼のようだし、売れなかったときのプレッシャーもありますし、ネット上で小説の内容を叩かれますけど、案外この仕事、嫌いじゃないんだよなあ。
 と、ここであることに気づいたのです。
 創作稼業は苦しい、というのが世間の公理なのか?
 じゃあ楽しさを書いてやろうと取り組んだのが『おもちゃ絵よしふじ(文藝春秋)なのですが、書き出してみると思いの外苦しいお話になりました。でも、本作の主人公である芳藤の最後の境地こそ、小説を書くわたしが抱く「創作行為への信頼」そのものなのでしょう。

[平成29年(2017)4月24日]

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